研究概要 |
申請者らは、オピオイド類がμ-受容体刺激によりマウス脳の神経性ヒスタミン(HA)の代謝回転を亢進させることを、代謝産物tele-メチルヒスタミンの測定により証明した。そこで本年度は神経性HA遊離をμ-アゴニストが促進することをin vivo microdialysis法で証明するための研究を行った。雄ウィスターラットの線条体に微小透析用プローブを挿入し、翌日無麻酔無拘束条件にて線条体における細胞外HA濃度を測定し、オピオイド類の投与による変化を調べた。モルヒネ3.8mg/kg皮下投与により細胞外HAは投与前の約300%に上昇した。この作用は、モルヒネ投与と同時にナルトレキソン1.6mg/kg皮下投与を行うことよって拮抗された。またヒスチジン脱炭酸酵素阻害薬(S)-α-フルオロメチルヒスチジン77mg/kg皮下投与により神経性HAを枯渇させた後にモルヒネを投与しても細胞外HA濃度は変化しなかった。選択的μ-アゴニストの[_D-Ala^2,MePhe^4,Gly(ol)^5]エンケファリン0.2μg脳室内投与により細胞外HAは投与前の約250%に上昇し、この効果はナルトレキソン1.6mg/kgを30分前に皮下投与しておくことにより消失した。選択的k-アゴニスト U-50,488の3.8および7.6mg/kg皮下投与あるいは選択的δ-アゴニスト[_D-Pen^2,_D-Pen^5]エンケファリン0.5および2μg脳室内投与では細胞外HA濃度に有意な変化は見られなかった。このような成績は、μ-受容体刺激により、神経性HAの遊離が促進されることを示すものと結論した。
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