研究概要 |
イミダゾベンゾジアゼピン化合物の1つである[^3H]Ro15-4513を用いた受容体結合実験とエタノールの抗痙攣作用に対する各種イミダゾベンゾジアゼピン化合物の影響から、ジアゼパム非感受性の新しいベンゾジアゼピン受容体の性質と機能を検討した。ラット脳膜標品および培養小脳顆粒細胞の初代培養系において、従来のベンゾジアゼピン受容体を大量のジアゼパムでマスクした後、[^3H]Ro15-4513結合を調べたところ、単一な結合部位が認められた。このジアゼパム非感受性の[^3H]Ro15-4513結合に対し、フルマゼニル(Ro15-1788)やRo19-4603のようなイミダゾベンゾジアゼピン化合物やピラゾロキノリン誘導体のCGS8216は非常に高い親和性を示したが、従来のベンゾジアゼピン誘導体およびmethyl-6,7-dimethyl-4-ethyl-β-carboline-3-carboxylate(DMCM)やFG7142のようなβ-カルボリン類は影響を及ぼさなかった。マウスにペンチレンテトラゾール(PTZ)を投与(60mg/kg,i.p.)すると、投与2-3分後に間代性けいれんが認められたが、このけいれんはエタノール(1.5g/kg,i.p.)の前処置により消失した。Ro15-4513(4mg/kg,i.p.)またはRo19-4603(4mg/kg,i.p.)エタノール(1.5g/kg,i.p.)と併用したところ、エタノールの抗けいれん作用に対し顕著な拮抗作用を示したが、フェノバルビタール(50mg/kg,i.p.)の抗けいれん作用に対しては弱い抑制作用しか示さなかった。以上の結果より、ジアゼパム非感受性のベンゾジアゼピン受容体は、Ro15-4513とRo19-4603のようなイミダゾベンゾジアゼピン化合物に高親和性をしめすこと、また本受容体が、イミダゾベンゾジアゼピン化合物のエタノールの急性効果に対する拮抗作用に重要な役割を持つことが明らかとなった。
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