研究概要 |
1.ラット腎臓におけるヒスタミンN-メチル基転移酵素(HMT)活性の性ステロイドによる制御機構の解明のために,ウェスタンブロット法による酵素タンパク量の定量法を開発した。この方法に用いる抗体は大腸菌で発現させ,完全に精製した組み替え型ラット腎HMTを家兎に免疫することにより作成した。本坑体はラットのみならずマウス,モルモットのHMT活性を免疫沈降し,諸臓器抽出物のウェスタンブロットでラットHMTと近い分子量のタンパクを認識した。ラット,マウス,モルモットのウェスタンブロットでこのタンパクの染色性はHMT活性量と強い正の相関を示した。 2.ラット遺伝子ライブラリーからHMT cDNAをプローブとして陽性クローンを1個単離し,塩基配列を決定した。その結果,このクローンはHMT遺伝子の1部を含み、ラットHMT遺伝子は5個以上のエクソンからなり,全長10.4kb以上であることがわかった。 3.ヒト腎臓cDNAライブラリーからHMT cDNAをクローニングし、全長の塩基配列を決定した。ノザンブロット解析によりヒト上下気道,腎臓におけるHMTの発現を確認した。FISH法によりHMTの遺伝子座を1p32と決定した。ヒト気管・気管支のヒスタミンによる収縮がHMT阻害剤により増強されるがジアミン酸化酵素阻害剤は無影響であることを示し,ヒト気道における内因性ヒスタミンの不活性化は主としてメチル化経路であることを示した。 4.もう一つのヒスタミンの不活性化酵素であるジアミン酸化酵素をラット小腸から精製し、抗体を作成した。本抗体に対する各種哺乳動物の種々の組織中のジアミン酸化酵素の反応性について検討した。
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