研究課題/領域番号 |
05670140
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中西 真人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10172355)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | センダイウイルス / 遺伝子治療 / リポソーム / 膜融合 / 遺伝子導入 / 持続感染 / ウイルス・ベクター |
研究概要 |
今年度は遺伝子治療の基礎技術のために次の2つの研究成果を上げることができた。 1.遺伝子導入活性を持った膜融合リポソームの精製とその活性の定量化 本年度は、センダイウイルスの膜融合活性を利用して高分子物質を細胞内に効率よく導入する方法を改良して、一枚膜の膜融合リポソームを調製しその活性を定量化することに成功した(中西・芦原・千田ら、論文投稿準備中)。精製した膜融合リポソームは、直径379nmの球状で、その最外部にウイルスのスパイクに類似した構造が存在することが、電子顕微鏡やレーザー光散乱装置を使った実験から明らかになった。これらリポソームはその70%以上が細胞膜と直接融合する能力を持っていた。さらにこの粒子に薬剤耐性遺伝子を封入しヒト培養細胞に導入すると、OD_<540>ユニットあたり4x10^5/mlの遺伝子導入活性を示し、遺伝子治療に必要とされる効率を満たしていることが明らかになった。 2.センダイウイルス・ベクターの開発 センダイウイルスを利用して細胞質で持続的に遺伝子を発現するシステムを作るために、持続感染の機構の解析とセンダイウイルスの遺伝子組み替えの研究を行った。まず温度感受性変異ウイルスの解析から、ウイルスのMタンパク質の量的異常が持続感染を引き起こすこと、この変異は遺伝子発現に影響を与えないことを明らかにした(近藤・中西ら、1993)。さらにワクチニアウイルスを使ってセンダイウイルスのNP、P、Lの各遺伝子を発現させた細胞に、ウイルスゲノムの両末端とホタル・ルシフェラーゼ遺伝子を結合させたマーカーRNAを導入してヌクレオキャップシド状の構造を作ることに成功し、さらにこの構造をセンダイウイルス感染細胞に導入することによりルシフェラーゼ遺伝子を発現させることに成功した(近藤・中西ら、投稿準備中)。これらはRNAウイルスを使った遺伝子発現ベクター開発の第一歩を達成した成果である。
|