研究課題/領域番号 |
05670172
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森 尚義 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90045732)
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研究分担者 |
笠井 謙次 名古屋大学, 医学部, 助手 (70242857)
伊藤 雅文 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50184693)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | non-T ALL / λ5 / VpreB / λ鎖様遺伝子 |
研究概要 |
我々は小児および成人におけるT細胞性以外の急性リンパ球性白血病(non-T ALL)の48例について免疫電顕を用いて免疫グロブリンの発現を検討し、報告した。免疫グロブリン軽鎖については18例中17例がλ軽鎖を発現していた。non-T ALLはpre-B細胞前後の分化段階に相当することが裏付けられており、この段階の正常Bリンパ球ではμ鎖単独、若しくは発現はないと考えられる。このため我々の免疫電顕での結果はこれまでのリンパ球初期分化の表面形質とは反する所見であった。近年、坂口、工藤等はマウスのpre-B細胞にλ鎖様遺伝子が発現していることを証明し、λ5、VpreBと命名した。その後の検索から、これら遺伝子はBリンパ球の分化成熟強い影響を及ぼし、μ鎖の発現や骨髄間質細胞との信号伝達に関係することが見いだされた。我々は、18例中17例に検出されたλ鎖陽性物質がこのλ鎖様遺伝子蛋白であるか否かを同定するため、培養細胞株について検索を行った。用いた細胞株はNALM6,NALM16,KM3,Rehである。このうちNALM6は免疫電顕でμ-λ陽性、他はいずれもλ鎖のみ陽性であった。Southern blot hybridization法による免疫グロブリン遺伝子は全細胞株で重鎖遺伝子再構成、NALM6にのみκ鎖遺伝子再構成が認められた。λ鎖遺伝子は全例で胚芽型であった。したがって、培養細胞株はpreB細胞に位置することが遺伝子的にも証明され、機能的なλ鎖は産生はされないことが判明した。また、λ鎖様遺伝子に特異的な4つのオリゴヌクレオチドを作成し、これらのプローブで培養細胞から抽出したRNAについて逆転写酵素を用いPCRを施行した。NALM16,Rehではこのλ鎖様遺伝子に特異的な増幅が認められた。以上の結果から免疫電顕で証明したλ鎖陽性物質がλ鎖様遺伝子産物であることが強く示唆された。今後は、PCR増幅産物をプローブとしたNorthern blot hybridization法での検証を行い、発表する予定である。
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