研究概要 |
1.昨年度の実験手技を使い免疫ビーズ法でラット巨核球を精製分離したあと、巨核球成熟因子(Meg-POT)の中で、極めて類似した幅広い生物学的活性(多機能)を共有することが知られているIL-6とIL-11のPPF活性を比較検討した。その結果(1)IL-11はIL-6と異なり、0.01〜100ng/mlの濃度範囲においてPPF活性を殆ど示さなかった。(2)IL-6はEpoとの間に相加的あるいは相乗的なPPF活性を示すが、IL-11はEpo,IL-6に対して全く相乗的効果はなく、むしろ抑制的であった。(3)ヒト繊維芽細胞(KD細胞)と巨核球の共生培養系ではIL-11は弱いPPF活性を呈し、IL-6,EpoのPPF活性はこれまで通りに増強された。 2.最近開発されたc-Mplリガンドはトロンボポエチン(TPO)とみなされている。キリンビール社が開発したヒトTPOとIL-6,EpoのPPF活性を有血清と無血清培養で比較検討した。TPOによるPPF数はIL-6,Epoと同程度であったが、そのPPFに対する有効濃度には著しい差異を認めた。TPOは10^<-4>〜10^<-2>ng/ml濃度の範囲でPPF活性があり、至適濃度は10^<-4>〜10^0/ng/mlで、10^1〜10^2ng/mlでは活性が低下した。この至適濃度をEpoの至適濃度0.1〜1ng/ml,IL-6の1〜100ng/mlと比較して、明らかに10^2〜10^3倍の高い比活性を示す。 3.KD細胞の増殖が不良であるため、KD細胞より強いPPF活性の増幅効果を示すブタ血管内皮細胞株を使って巨核球との共生培養系におけるTPOのPPF活性を検討した。その結果、10^<-4>〜10^1ng/mlの濃度範囲で用量依存性にPPF活性は8倍に増強された。 4.KD細胞の増殖が不良であるため、当初の共生培養の解析が行えない状況にある。その代用としてブタ血管内皮細胞株の解析をすすめている。
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