研究課題/領域番号 |
05670190
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岡安 勲 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (20014342)
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研究分担者 |
大草 敏史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50160445)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1993年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / 大腸発癌促進作用 / 腸内フローラ / 胆汁酸 / デキストラン硫酸 |
研究概要 |
[目的] 潰瘍性大腸炎(UC)の長期 病患者には高率に大腸癌が出現する。我々は20年以上の経過観察(日本人患者)例を含む疫学的研究、UC患者に発生した大腸癌例の臨床病理学的研究、更にはUC病変をマウスに誘導することによる実験病理学的研究からUCが大腸発癌に促進的に作用していることを明らかにしてきた。そこでUCにおける大腸発癌の促進作用を腸内細菌の変動の面から明らかにするために、 [方法] 1)新しく開発したUC実験モデルをマウスに作製し、この際の腸内細菌の変化、便中の胆汁酸の変動を解析した。2)このUC実験系において大腸発癌に抑制的に作用するとみなされるBifidobacterium spp.を経口的に投与してUC発症の抑制の有無を観察した。 [結果] 1)マウスに3%デキストラン硫酸溶液を飲用として反復投与することにより慢性UCを誘導した。その際、腸内細菌フローラはBacteroides distasonis,Clostridium ramosumが有意に増加しており、Bifidobacteriaが有意に減少していた。2)腸内胆汁酸では一次胆汁酸の有意な上昇がみられた。3)そこでマウスにUCを誘導する際、経口的にBifidobacteriaを連日投与することによるUC発症の抑制効果を観察した結果、UC病変は抑制され、UC病変の間接的な指標となる腸管の長さもよく保たれた。 [考察と結論] 以上より、マウスに誘導されるUCを実験モデルとして行った結果では、UC状態において腸内細菌フローラで減少していたBifidobacteriaを経口投与して補給することによってUC病変の発生を抑制することができた。従って、大腸発癌の促進作用とみなされるUC病変は腸内細菌フローラの均衡の崩れによって発現し、その結果として大腸発癌が促進される可能性が示唆された。
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