研究課題/領域番号 |
05670199
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大河原 進 熊本大学, 医学部, 講師 (10094088)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 炎症 / 白血球浸潤 / 組職破壊 / IL-1β / THFα / IL-Ira / 好中球 / 治療 / 組織破壊 / IL-1 / IL-1ra / TNFα / LPS / エンドトキシン / 尿酸結晶 / TNF |
研究概要 |
ウサギのLPS膝関節炎をモデルに、その初期に活性化されるメディエーターを標的にして急性炎症の抑制を試み、急性炎症導入期のメディエーターを明らかにし、さらに、炎症の実験的治療方法の開発を試みた。抑制実験の標的とした現象は好中球浸潤と関節軟骨破壊である。この研究の1年目には遺伝子組換え体、抗体など、この実験系に必要な道具の開発を主として行い、2年目に炎症の抑制実験を実施し、以下の成績と結論を得た。 (1)炎症の導入の初期にはTNFαが、ついでIL-1βが産生される。(2)TNFαの産生細胞は組職の定住細胞である。(3)IL-1βの産生細胞は浸潤した好中球とマクロファージである。(4)TNFαをブロックすると好中球浸潤の70%は抑制され、IL-1βの産生も強く抑制される。(5)IL-1βをブロックすると白血球浸潤の70%が抑制されるが、TNFα産生の抑制は見られない。(6)TNFα、IL-1βをともにブロックすると白血球浸潤の90%以上が抑制される。(7)TNFαまたはIL-1βをブロックすると関節軟骨の破壊はほぼ完全に阻止される。(8)浸潤した白血球は局所でエラスターゼを遊離する。(9)関節軟骨の破壊の直接原因は白血球が遊離するエラスターゼである。(10)白血球エラスターゼをブロックすると関節軟骨の破壊は完全に阻止される。すなわち、LPS関節炎の導入を支配する因子はTNFαおよびIL-1βである。まず組職の定住細胞によりTNFαが産生され、初期の好中球浸潤を誘導する。浸潤した白血球はIL-1βを産生し好中球浸潤はさらに増幅される。関節軟骨の破壊は浸潤した好中球のエラスターゼにより引き起こされる。したがって、好中球浸潤を阻止するためにはTNFαおよびIL-1βをブロックする必要があり、組職破壊も阻止できる。ただし、感染防御のために好中球浸潤は阻止せず、組職破壊のみを阻止するためにはエラスターゼ活性の阻害が有効である。
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