研究概要 |
寄生虫感染における宿主の感受性については、遺伝的側面や固有・非固有宿主あるいは宿主の性差という観点からの研究は数多くなされてきたが、インターロイキンとの関わりではこれまでのところ報告がない。感染防御発現とインターロイキンとの関係について我々は、IL-5が糞線虫感染マウスの末梢血好酸球増多および再感染防御に必須のものであることをすでに報告している。その中で組織移行期幼虫に対する再感染防御機構はIL-5依存性であり、小腸における防御反応はIL-5非依存性であることを示した。そこで本研究では一次感染における感受性(抵抗性)とIL-5の関係を調べた。用いた寄生虫はStrongyloides venezuelensis(Sv)、マウスは6週令の雄性C57BL/6である。抗IL-5単クローン抗体(NC17)を所定量マウス腹腔へ投与した。【.encircled1.】NC17の最適な投与時期を調べるために、2mgのND17を感染前に7,3,0日に投与した。500隻の感染幼虫(L_3)を皮下接種し、感染後8日目に小腸内の成虫数を調べた。感染3日以前に処理した群で成虫数は有意に多かった。【.encircled2.】次にこの感染抵抗性の抑制(感受性の増強)がどの段階ではたらくのかを明らかにするために、感染7日前に2mgNC17を投与し経時的に肺および小腸の虫体数を調べた。感染3日目の肺および4,11日目の小腸からの虫体数に差はなく、6,8日目の成虫数のみ有意差があった。このことから小腸内でSvが成熟・定着する過程で作用する感染抵抗性が抑制されているのではないかと推測された。【.encircled3.】用量依存性に抵抗性が抑制されるか否かを調べた結果、0.1mg投与では抵抗性抑制は認められず、0.25mg以上の投与で認められた。【.encircled4.】末梢血好酸球増多は抑制されており、好酸球増多と抵抗性の関連はなかった。これらの結果から、直接的なエフェクターは不明であるが、IL-5依存性の反応により感受性(抵抗性)が調節されていることが示唆された。
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