研究概要 |
ボツリヌスC型神経毒素に対する受容体の遺伝子を明かにするために,NG108細胞からmRNAを抽出した後,cDNAの合成を行いZAP-XRベクターにクローニングし,得られたcDNAライブラリーからボツリヌスC1毒素に対する結合性蛋白質を産生しているクローンの選別を試みたが,バックグラウンドが高いために明かな陽性クローンの選別には成功しなかった。蛋白プローブとして神経毒素(分子量15万)全体を使用しているために擬陽性クローンが多くなる可能性が考えられたので,神経毒素の標的神経細胞への結合ドメインを含む領域を蛋白プローブとして用いることとした。このため,C1毒素遺伝子の結合ドメインを含む3′-末端側約650塩基(約200アミノ酸残基)に相当する領域をPCR法で増幅し,得られた増幅断片をpBluescript-IIにクローニングした後,pET発現ベクターに再クローニングした。pETベクターからの結合性蛋白質の発現は,C1毒素結合ドメインを認識している数種のモノクローナル抗体との反応性(ウエスタンブロット法)とNG108細胞へのC1毒素の結合を阻害することから確認した。 一方,NG108細胞膜上に存在すると考えられるC1毒素に対する蛋白質性の受溶体を単離して抗体を作成し,イムノスクリーニングによってcDNAライブラリーから陽性クローンを得るために,C1毒素あるいは結合ドメインを用いてNG108細胞膜蛋白質とのクロスリンク-免疫沈降法による検討を試みている。
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