研究概要 |
マラセチア(Malassezia)属酵母の分類・群別に関し、以下のような結果を得た。 試験菌株として医真菌研究センター保存株12株と癜風患者新鮮分離株28株の合計40株を用いた。脂質要求性、Dizonium blue B染色性および尿素分解性、ubiquinone systemなどの性状から全菌株とも好脂質性Malassezia菌種であることが確認され、その大部分はM.furfurであると思われた。これらの菌株はDixon培地上において特徴的な集落性状を示し、それに基づいて5型(I、II、III、IV、V型)に大別された。I〜IV型とV型の間には、Tween20〜85、mmonium sulfate、sodium glutamateの資化性および抗真菌性抗生物質nikkomycin Zとblasticidin Sに対する感受性の点で明らかな相違が認められた。また、各型の代表株をウサギに免疫して得た抗血清を用いて行ったスライド凝集反応の結果から、各型共通抗原の存在が示唆された。さらに10種の菌体酵素について電気泳動によるアロザイムパターンの分析を行ったところいくつかのグループに別れる可能性が示された。また、パルスフィールド電気泳動を用いて各型2菌株ずつ核型分析を行った。I〜IV型では各型とも染色体数は6本で各染色体の大きさは210,440,480,520,1,300,2,000,kbであった。V型は、染色体数は7本であり各大きさは460,500,580,850,920,1,300,2,000kbであった。すなわちV型は集落性状、生化学的性状、アロザイムパターンからも、I〜IV型とは相違が大きいことが示唆されていたが、染色体の解析もその結果に対応していた。以上の実験結果から、集落性状による型別は、M.furfurの生物学的簡易型別法として有効であるものと推察された。
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