研究課題/領域番号 |
05670276
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
中込 治 秋田大学, 医学部, 教授 (70143047)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ロタウイルス / ゲノム / 遺伝子変異 / 遺伝子交雑 / 種間伝播 / 血清型 / RNA-ハイブリダイゼーション / 遺伝子ホモロジー |
研究概要 |
ロタウイルスは、我が国では小児期の重症下痢症の実に40%に関与する病原ウイルスである。ロタウイルスには、インフルエンザウイルスよりも多くの血清型が存在すること、また、ロタウイルスの遺伝子が著しい多様性をもっていることが、しだいに明らかになってきた。しかし、この遺伝子の多様性がどのようにして生まれてくるのかを明らかにしようとした研究は、ワクチン開発という実用面から見ても重要であるにもかかわらず少ない。 本研究では、自然界におけるロタウイルスの遺伝子変異の基本的メカニズムが、1)遺伝子交雑(genetic reassortment)および2)ウイルスの宿主の種を越えた伝播(interspecies transmission)にあるという我々の仮説を、臨床分離株の遺伝子塩基配列を決定することにより解析することを目的とした。上記目的達成のため我々が過去10年間にわたって蓄績した臨床検体に由来する約1600株のロタウイルスコレクションを整備し、675検体のロタウイルス株を選び出し、それぞれのゲノムRNAのエレクトロフェロタイプを決定した。このエレクトロフェロタイプを基礎に675株のウイルスを89のエレクトロフェロタイプが異なるウイルス株に再分類して以後の研究に供した。 1)および2)の仮説を証明する証拠となりうるウイルス株を選び出すために上記した89の臨床分離ロタウイルス株のすべてについてRNA-RNA hybridizationを行なった。この結果、我が国における下痢症患者から分離されるロタウイルスの約1%にネコロタウイルスとその遺伝子構成(ゲノグループ)を同じくするものが見つかった。 これとは別に、米国、イスラエル、インド、イタリアおよびスイスの研究者から1)および2)を実証する可能性の極めて高いロタウイルス分離株の分与を受けたので、RNA-RNA hybridizationにより解析を行なった。この結果、インドでは先進工業国とは異なり、ウシロタウイルスとヒトロタウイルスの遺伝子交雑体が広く流行していることを示唆する結果が得られた。また、イスラエルの分離株Ro1845はイヌロタウイルスとゲノグループが同一であることが明らかになったが、このうち中和にとって重要なVP4遺伝子の全塩基配列を決定したところ、イヌロタウイルスのVP4遺伝子と著しく高い相同性を示すのみならず、新しいP血清型であることが判明した。
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