研究概要 |
Epstein-Barrウイルスゲノム複製マシナリーを構成するウイルス蛋白は少なくとも6種類確認されている。その中でKey enzymeといえるEBVDNAポリメラーゼホロ酵素に焦点を当てホロ酵素を構成するサブユニットの役割を本研究で明らかにした。 (1)EBVDNAポリメラーゼホロ酵素はBALF5にcodeされるEBVDNAポリメラーゼcatalyticサブユニットとBMRF1にcodeされるEBVDNAポリメラーゼ付随蛋白との複合体として感染細胞中に存在していた。 (2)BALF5遺伝子産物を発現するバキュロウイルス発現系を作製しさらに精製法を確立した。均一状態まで精製されたBALF5蛋白はDNAポリメラーゼ活性及び3′→5′エクソヌクレアーゼ活性を示したがその酵素至適条件は感染細胞から精製されたEBVDNAポリメラーゼホロ酵素と大きく異なった。 (3)BMRF1遺伝子産物を発現するバキュロウイルス発現系を作製し精製法を確立した。精製されたBMRF1蛋白はポリメラーゼ活性もエクソヌクレアーゼ活性もなかったが二重鎖DNAと結合する活性を有していた。 (4)BALF5蛋白自身では低いポリメラーゼprocessivity(〜50base)しか示さないが2倍量(モル比)のBMRF1蛋白を添加することにより非常に高いProcessivity(>7200base)を示すようになった。同様にBALF5蛋白は低いdouble strand 3′→5′exonuclease活性を示すがBMRF1蛋白添加により高いexonuclease活性を示すようなった。以上の結果よりBMRF1蛋白はポリメラーゼ付随蛋白としてプライマー末端の二重鎖部分と結合しBALF5蛋白が離れないように留め具として働いていると推定される。 今後は一本鎖結合蛋白,ヘリカーゼ,プライマーゼとの相互作用について研究を進めていく計画である。
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