1.腎組織においてHHV-6がHLA-DR抗原を誘導する可能性を検討するために、摘出ヒト腎腫瘍組織周辺の正常腎組織より上皮細胞を継代培養し、HHV-6を感染させウイルス抗原とDR抗原の局在を酵素抗体二重染色法で検討した。その結果、非感染培養細胞の一部、約1〜2%でDR抗原を発現しており、HHV-6感染後DR抗原陽性細胞の頻度は有意に上昇せず、この方法ではDR抗原の誘導が認められなかった。さらにFACSを用いた解析が必要と考えられた。 2.拒絶反応陽性の腎生検組織一例において、HHV-6ウイルス抗原、HLA-DR抗原を酵素抗体二重染色法用いてその局在を検討したが、ウイルス抗原は検出されず、DR抗原との相関は検討できなかった。 3.拒絶反応を起こした一例の腎の生検組織より、浸潤リンパ球を回収して抗CD3抗体を用いてクローニングし、HHV-6特異的T細胞の存在の有無を検討した。その結果、自己末梢血単核球を抗原提示細胞として用い、紫外線で不活性化したHHV-6でクローンを刺激し、反応するクローンを増殖反応でみたがウイルス特異的クローンは検出されなかった。今後、多くの症例で検討が必要である。
|