研究課題/領域番号 |
05670290
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
|
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
加藤 宣之 国立がんセンター, 研究所・ウイルス部, 室長 (40150883)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | C型肝炎ウイルス / 超可変領域 / 体液性免疫応答 / HCV感染培養細胞 / エンベロープ蛋白質 / 免疫監視機構 / 持続感染 / 慢性肝炎 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)のエンベロープ蛋白質の一つと考えられるgp70のアミノ末端部をコードする領域には2ヵ所の超可変領域(HVR1及びHVR2)が存在しており、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)の場合と同様に、これらのHVRがウイルスの持続感染の成立に関与していることが示唆される。本研究においては、1:HVRの経時的変異性 2:HVR1の免疫応答性 3:HVR1の中和エピトープとしての可能性 4:HCVの感染培養細胞系の開発に関する実験を行い、以下のような結果を得た。 1:HVRの経時的変異性 急性肝炎から慢性化した2症例について、HCVのエンベロープ蛋白質と考えられるgp35とHVRを含むgp70をコードする全領域の肝炎の経過中における遺伝的変化を解析した。その結果、両症例ともHVR1におけるアミノ酸の置換が肝炎の慢性化に伴って連続的に起こることを明らかにした。 2:HVR1の免疫応答性 筆者らが独自に考案開発した抗体アッセイシステムを用いて、HVR1内にウイルス株特異的B細胞エピトープが存在することを明らかにした。しかし、抗HVR1抗体の抗体価が十分上昇しない症例も認められた。 3:HVR1の中和エピトープとしての可能性 抗体価の高い一症例に関して、HVR内に互いにオーバーラップした2ヵ所の細胞エピトープを同定した。これらのエピトープの位置は経時的にアミノ酸が変化する場所とよく一致しており、経時的にエピトープがシフトすることを明らかにした。これらの結果から、HVR1が中和エピトープとして動き、HVR1における高頻度の変異がHCVの持続感染に関与しているのではないかということが示唆された。 4:HCVの感染培養細胞系の開発 前項目で得られた仮説を直接的に証明するためには、HCVの増殖系の開発が必要である。可能な一つの系としてHCVのin vitro感染実験を試みた。ヒト肝臓の培養細胞にHCV陽性の患者血清を添加した系で、培養上清と細胞に1週間程度HCVゲノムを検出したが、それ以上感染を維持させることは出来なかった。
|