研究概要 |
平成5年〜6年度の2年間で当初の計画通り研究を遂行することができた。2年間の研究成果の概要については次の通りである。 就業している中高年齢者を含む1,120名の通常勤務者に、生活時間調査、朝型・夜型質問紙、A型行動パターン調査等を実施し、主として概日リズムの位相差の観点から加齢影響に伴う個人特性や睡眠・覚醒習慣の変化について検討した。またこの間に、4組3交代勤務に従事する化学工場の男子オペレータを対象として、夜勤中に2時間の仮眠のある14名と、仮眠のない14名に対て、仮眠効果に関する調査も遂行できたので、合わせてその成果の概要についても報告する。 平日の就寝時刻は、男女とも加齢に伴って早くなるが、起床時刻には大差がみられなかった。平日の平均睡眠時間は、加齢に伴って延長していたが、休日の睡眠時間は逆に短縮し、高齢者ほど平日と休日の睡眠時間に差が少なかった。M-Eスコアー分布は男女とも加齢に伴って朝型寄りに変化していた。同じ年齢層にあっても、夜型より中間型、中間型より朝型で就寝時刻が早く、とくに高齢者の朝型で顕著であった。年齢層による就寝時刻の差は朝型よりも夜型で大きかった。起床時刻についても同様の傾向にあったが、就寝時刻ほど朝型・夜型および年齢層による差は大きくなかった。平均睡眠時間は、夜型、中間型、朝型の順に延長していたが、その差は高齢者ほど少なかった。また、A型行動パターンとそうでない者の間に、睡眠時間の長さに差がみられなかった。以上の成績から、加齢に伴って夜型から朝型に変化し、概日リズムにも位相の前進が引き起こされるものと推測された。 仮眠調査から、2時間でもこの種の仮眠がといれれば、夜勤中に必然的に生じる睡眠不足を前もって補う効果と、夜勤継続によって生じる疲労を一定限度回復する効果があるものと推測された。
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