研究概要 |
東北,東海,九州の3地域を住所地とする409,679人の1989年出生コホートを対象として、人口動態調査出生票と出生後1年未満の死亡票とのレコードリンケージを行い、乳児死亡に対する出生時要因の影響について検討した。出生票との結合が可能であった死亡票は96%(1,840人/1,909人)であった。 早期新生児期のみでなく晩期新生児期および新生児期後乳児期においても、「出生体重」の減少に伴って死亡率が指数的に増大していた。低出生体重児の死亡率は乳児期の後期においてもなお高率であり、低出生体重児に対しては生後1年においてもなお継続的なケア・監視が必要であることが示唆された。多重ロジスティックモデルによって出生体重の影響を調整して、他の出生時要因の影響を検討した。新生児期の死亡リスクが高い特性として短い妊娠週数及び男児があげられ、東北地方及び専業農家世帯でもわずかに死亡リスクが高い傾向にあった。しかし、「母の年齢」「出生順位」「死産経験」「嫡出か否か」については大きな関連が認められず、これらの社会経済的要因は主に出生体重を介して新生児死亡に影響を及ぼしていると考えられた。新生児期後乳児死亡についての要因分析では、出生体重を調整しても、男子とともに、20歳未満の若年齢出産および35歳以上の高年齢出産,遅い出産順位,非嫡出子,「世帯の主な仕事」が専業農家・その他・自営業などでの死亡リスクが有意に高く、育児環境に関わる社会経済的要因の影響が大きいことが明らかになった。
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