研究概要 |
PBCはその免疫遺伝学的素因を背景に、胆管細胞自己抗原に対する細胞性免疫による惹起されると考えられる。PBCの遺伝的背景としてHLA遺伝子およびその近傍遺伝子を解析した。 【方法】HLA class I,II(DR,DQ)はsero-typingおよびDNA-typing(PCR-SSOP法)により解析。slass III内に存在するTNFα遺伝子は制限酵素NcoIによるRFLP法により解析。HLA class II内に存在し、抗原提示に関係するTAP遺伝子(Transporter of Antigcn Peptidc)については、TAP2分子の379番目のアミノ酸の多型性をPCR-SSOP法を用いて検討した。 【結果】(1)HLAclassIIで、PBCはHLA-DR8との相関を示しDRB1遺伝子解析ではDRB1^*0803との強い連鎖(P<0.0001)を認めた。DRB1^*0803と連鎖不平衡にあるDQA1^*0103およびDQB1^*0601も高頻度に検出した。(2)TNFα遺伝子のRFLPおよびTAP2分子の379番目のアミノ酸の多型性ではPBCと健常者で差異を認めなかった。(3)DRB1^*0803陽性PBCと相関を示す臨床事項は認めなかった。 【結論】PBCとDR8が相関するという欧米での知見を考慮すれば、DR8(DRB1^*0803)がPBCの発症に強く連鎖する可能性が強く示唆される。
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