研究課題/領域番号 |
05670509
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
山田 真和 産業医科大学, 医学部, 助教授 (60143426)
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研究分担者 |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 助手 (30248562)
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 肝移植 / 虚血再灌流障害 / 接着分子 / 好中球 / 内皮細胞障害 / 血小板 / IL-8 / HGF |
研究概要 |
移植肝拒絶における接着分子とケモカインの役割りを移植後早期の虚血-再灌流障害と、移植後1週間前後の拒絶反応の2つの時期で検討し、以下の成績を得た。 I.虚血-再灌流障害 1.in vivo ラット肝にクランプを用いて、虚血-再潅流を行うと、好中球の活性化・走化作用のあるCINC(ラットIL-8)は血中で6時間をピーク値27±5ng/mlとする上昇が見られた。GdCl_3(Kupffer細胞活性抑制物質)前投与でその上昇は完全にブロックされたことと、これらの系より分離したKupffer細胞のCINC-mRNAの変動は血中レベルと平行していたことより、CINCの由来はKupffer細胞であると考えられた。今後、CINC抗体投与による好中球接着や肝障害の抑制を検討する予定である。 2.in vitro 冷保存肝の再潅流で、血小板が肝障害成立に重要であることが既に知られている。我々は、HUVECの培養系で、血小板が膜糖蛋白GpIIb/IIIaを介して内皮細胞に接着し、その後、血小板よりPセレクチンが発現し、さらに、それを介して好中球が活性化され接着することを見い出した。また、低酸素条件下でこれらの接着が増強することも明らかになった。現在、肝類洞内皮細胞を用いて同様の検討を行っている。 II.ラット肝allograftの拒絶過程における血中および肝でのHGFの動態 我々は、in vitroでHGFはCD4(+)Tリンパ球の強力な走化作用を有することをすでに発表している。そこでHGFが生体内で免疫調節作用を有していることを想定し、これを検討するためin vivoの系として肝allograftの拒絶過程で血中・肝でのHGFを検討した。対照として、拒絶反応がほぼ完全に抑制されたDST(donor specific tolerant)群をおき、比較した。 血中HGFレベルは、DST群で拒絶群の約2倍と有意に高値であった。肝のHGFを抗体を用いた免疫染色で検討すると、DST群では7日目に門脈域の浸潤細胞に強く発現していた。一方、拒絶群では、小葉内に散在性に発現しており、一部、胆管周囲に強く発現するものも観察された。またDST群では7〜21日目に、肝内にCD4(+)Tリンパ球の浸潤が認められた。 以上の成績からHGFの作用は(1)CD4(+)Tリンパ球を走化させる2)肝再生に積極的役割を演ず3)胆管上皮の再生を促進す の可能性が示され、今後の解析が必要であろう。
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