研究課題/領域番号 |
05670550
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郭 伸 東京大学, 医学部(医), 助手 (40160981)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 神経細胞死 / グルタミン酸受容体 / 興奮性アミノ酸 / アクロメリン酸 / カイニン酸 / AMPA / 脊髄 |
研究概要 |
変性性神経疾患、特に筋萎縮性側索硬化症の病因に非NMDA受容体が関わっているとする仮説の妥当性を検討するために、選択的な非NMDA受容体アゴニストであるアクロメリン酸、カイニン酸、AMPAをラットに髄注し、グルタミン酸受容体サブタイプの違いによる神経細胞障害作用の特徴を形態的、神経化学的に検討した。特に、変性疾患の特徴である緩徐進行性の病変が引き起こされるかどうかを明らかにする目的で、急性(2時間)投与のほかに持続的(1週間)に髄注する方法をとった。 急性投与:アクロメリン酸(0.75nmol/2h)投与では痙性対麻痺が引き起こされた。これは、グリシン、GABAを神経伝達物質とする脊髄小径介在ニューロンの選択的変性によるものであった。神経化学的にはが脊髄前角で低下していたものの、前角運動ニューロンのマーカーであるCholin acetyltransferase(ChAT)活性は保たれており、抑制性介在ニューロンの選択的変性を示していた。カイニン酸投与により弛緩性対麻痺が引き起こされたが、それに要した用量はアクロメリン酸の30倍以上(60nmol/2h)であり、形態的にも神経化学的にも、変性したニューロンの選択性にも乏しかった。AMPA(100nmol/2h)の投与では、脊髄の組織が非選択的に変性に陥っていた。持続的投与:AMPAは3nmol/h以上の用量で、遅発性かつ進行性の下肢麻痺、尿便失禁を引き起こした。この行動変化は形態変化に比例し、灰白質を中心にニューロンの強い変性像が見られた。特に、後角の膠様質の小径神経細胞が強く障害されていた。 非NMDA受容体を介する神経細胞死は、選択性、緩徐進行性の経過をとりうる点で神経変性疾患に通ずるものがあるといえる。
|