研究概要 |
線条体のニューロンの約2%を占める大型の介在ユーロン全てにChATのmRNAが高濃度に発現していた.またChATのmRNAが発現している大型のニューロンのほぼ全てにおいて,可塑性関連蛋白質であるGAP-43のmRNAが大量に発現していた.medial forebrain bundleに6-hydroxydopamineを注入して黒質から線条体へのドーパミン入力を遮断してもGAP-43のmRNAの発現には変化が認めなかった.介在ニューロンは線条体内で数こそ少ないが,その可塑性により重要な役割を果たしていると考えられる. ネコの片側被殻にGABA_Aに対するアンタゴニストであるbicucullineを注入することにより、対側への頭部のジストニア様運動を発現させた.ジストニアに一致して,被殻ではバースト状のスパイクを認めた.黒質の出力ニューロンは被殻のスパイクに一致して発射が抑制された. ラットの脚橋核にイボテン酸を注入すると,線条体のdihydroxyphenyl acetic acid(DOPAC)が約1.6倍に増加した.この増加は黒質へのスコポラミン環流により抑制された.このとき黒質のドーパミンニューロンの発射は減少し,線条体のドーパミンは変化しなかった.ドーパミンは変化しないのにその代謝産物であるDOPACが増加したことから,脚橋核へのイボテン酸の注入によりドーパミンの産生は増えるが放出は変化しないことが示唆される.またドーパミン産生の増加はドーパミンニューロンの活動電位の増加を伴わずに発現すると考えられる.
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