研究課題/領域番号 |
05670572
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
田中 耕太郎 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90129528)
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研究分担者 |
永田 栄一郎 (永田 英一郎) 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00255457)
野崎 博之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80218312)
野川 茂 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50208310)
近藤 太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40234942)
白井 俊孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80196592)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 痴呆 / イノシトール1, 4, 5三リン酸受容体 / 海馬 / リアノジン受容体 / イノシトール1,4,5三リン酸受容体 |
研究概要 |
1型イノシトール1, 4, 5-三リン酸(IP_3)受容体の生理学的機能を分析する目的で、同受容体を欠損したマウス(Matsumoto et al. Nature 379: 168-171, 1996)のIP_3結合能および行動様式を観察した。野性型マウスでは、脳内IP_3結合は、我々が既に砂ネズミで報告しているごとく、小脳皮質で最も高く(674±73 fmol/mg)、海馬CA1(375±71 fmol/mg)や線条体(357±63 fmol/mg)がそれに次いで高い値を示していた。一方、1型IP_3受容体欠損マウスでは、脳内IP_3結合は、小脳皮質で133±29 fmol/mg、海馬CA1: 209±74 fmol/mg、線条体: 114±32 fmol/mgと有意に減少していた。残存していたIP_3結合は、2型や3型などのIP_3受容体によるものと考えられた。この1型IP_3受容体欠損マウスは胎内でかなりの割合が死亡するが、生まれてきたものでは生直後は特に行動異常は認められなかった。しかし、生後9日目より小脳失調症状が出現し、歩行が不安定化した。更に生後15日頃より躯幹をねじ曲げる姿勢異常が出現し、生後20-23日後より繰り返す強直間代発作が明らかとなり、脳波上大脳にて棘徐波の広範な出現が観察された。またオピストトーヌスも間歇的に出現し、生後25日前後で死亡した。上記痙攣発作はpentobarbitalで抑制され、diazepamで抑制された発作はflumazenil投与により再出現した。以上より、1型IP_3受容体は小脳による協調運動機能および大脳皮質を中心とした神経細胞興奮性の調節に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 更に、各種神経疾患におけるIP_3受容体の変動を明らかにする目的で、脳虚血時の脳内IP_3受容体結合能の変動を砂ネズミ一側総頸動脈閉塞モデルを用いて観察した。その結果、30分の重度虚血では脳内各領域でのIP3結合能は保たれていたが、2時間の重度虚血時には海馬CA1で同結合能が選択的に低下していることが明らかとなった。虚血侵襲に対し大変脆弱な海馬CA1でこのような変動が認められたことは、虚血性損傷にIP_3を介するセカンドメッセンジャー系が密接に関与している可能性が示唆された。
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