研究概要 |
1.Western blottingに用いるアデニル酸シクラーゼ(AC)抗体を作製した。AC(Type V,VI)のアミノ酸配列のうち,5種類を合成し,ウサギに静注しポリクロナール抗体を作製した。抗体の力値はELISA法で確認したが,平均10-3程度であった。 2.作製したAC抗体と市販のC kinase抗体を用いて,monocrotaline右室肥大・不全心の心筋粗膜分画の蛋白量を定量化した(Western blotting)。AC抗体では,多くのbandが出現したが,ACの蛋白量が極めて少ないか,または作製した抗体が非特異的であるためではないかと考えている。110KDa付近のACと思われるbandは各心室でcontrol群,monocrotaline群の間で差はなかった。C kinaseの蛋白量も右室肥大・不全心でも,control群と比べて大きな変動はなかった。 3.monocrotaline右室肥大・不全心の心筋からpoly A+ RNAを抽出し,ACのType V, VI cDNA(Ishikawa,J B C 267:13553,1992)でhybiridizationし,β-actinの量を基準として,定量化した(Northern blotting)。VおよびVI ACmRNAは,右室肥大の出現とともにforskolin-AC活性のまだ低下しない時期に既にACのmRNAレベルは低下していたが,心室中隔,左室では心不全時期のforskolin-AC活性の低下とACmRNAレベルは一致していた。 4.加齢に伴ないラット心筋AC活性は低下するが,その変化をmRNA levelから検討した(Northern blotting)。GAPDHの量を基準とした。AC typeV mRNAは,fetus・neonate と比較して,mature adult・oldで増加していた。一方,AC type VI mNRAはtype V のパターンとは丁度逆を示した。加齢に伴う心筋AC活性の変化は,AC typeVよりもtypeVIのmRNA発現量とより関連していた。
|