研究概要 |
Naポンプ(Na,K-ATPase)は、細胞内Na^+、さらに二次的にCa^<2+>濃度を制御する膜タンパクで、α鎖およびβ鎖の2つのサブユニットより構成される.さらに、α鎖には3種類のアイソフォーム(α_1,α_2,α_3)存在することが、ヒトおよびラットで知られている.Naポンプは、特に心筋細胞や平滑筋細胞において、その収縮性、興奮性、増殖性に重要であり、従来よりこれら細胞におけるNaポンプ活性が各種ホルモンやイオンにより制御さらることが知られている.一方、最近Naポンプの遺伝子がクローニングされ、Naポンプの発現制御について遺伝子レベルでの解析が可能となってきた. 我々の研究課題は、(i)ラットの培養心筋細胞および血管平滑筋細胞を用い、各種ホルモンやイオンによるNaポンプ遺伝子(αおよびβ)の発現制御機構について明らかにすることである. 平成7年度に予定していた研究目的はほぼ達成でき、新たに以下の知見が得られた. (i)ラット培養血管平滑筋細胞にangiotensin IIを添加すると、NaポンプmRNAおよびタンパクの発現が増加した.また、Naポンプ遺伝子の5^′上流領域に、angiotensin IIの作用部位が存在する可能性が示唆された(Am J Physiol 267:H1295-H1302,1994). (ii)α3鎖の発現に関与する特異的転写因子を同定した(第60回日本循環器学会発表).
|