研究課題/領域番号 |
05670634
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
西村 昌雄 帝京大学, 医学部, 助教授 (60101680)
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研究分担者 |
斎藤 雅彦 帝京大学, 医学部, 助手
長汐 美江子 帝京大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 電気的気絶心筋 / 再灌流心筋傷害 / 膜脂質過酸化 / Na^+電流 / フリーラジカル / 単一心筋細胞 |
研究概要 |
【目的】虚血後の再灌流に伴われる電気的気絶心筋の発生機序を知るため、フリーラジカルによる膜脂質過酸化のナトリウム電流(I_<Na>)に及ぼす効果を単一細胞の電圧固定実験により検討した。。 【方法】体重0.3〜0.5kgのネコの心臓をコラーゲナーゼで処理し、心室筋細胞を単離した。吸引電極法(電極抵抗:0.8〜1.0MOMEGA)を応用して全膜電位固定法を行い、I_<Na>を記録した。膜脂質の過酸化剤としてt-butyl hydroperoxide(TBH)を用いた。 【結果】対照時、膜を-140mVに保持すると、I_<Na>は脱分極により-50mVで活性化され、-30mVで最大電流値を示し、5〜10mVで極性を逆転した。I_<Na>は4mM以下のTBHには感受性を示さなかったが、20mMでは2.2±1.3nAから1.7±1.0nA(p<0.01,n=7)へと減少した。I_<Na>の不活性化過程は2成分により構成されたが、各成分はTBH灌流下でも不変に留まった。20mMのTBHにより定常状態の不活性化曲線は-77.4±1.7mVから-81.3±1.8mV(p<0.01,n=7)へと過分極側へ偏位したが、勾配因子は6.1±0.2mVから5.8±0.3mVと有意な変化を示さなかった。I_<Na>の不活性化からの回復過程は20mM TBHを作用しても不変であった。TBHのNa^+チャネルへの結合様式と親和性を活性化状態と不活性化状態に分けて検討したが、本剤は抗不整脈剤などのチャネル受容体には結合しないことが明かとなった。 【総括】TBHによる膜脂質過酸化はナトリウム電流のコンダクタンスを減少させ、不活性化曲線を過分極側に偏位することにより、虚血後の再灌流時に心筋細胞の興奮性を著しく抑制し、その結果電気的気絶心筋を発現することが示唆された。
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