研究概要 |
我々は筋緊張性ジストロフィー症(DM)の原因遺伝子(DM-PK)のCTG repeatを含む1.4kbのcDNA(p5B1.4)をプローブを用いて先天性DM児25名とその家族と計55名のリンパ球より抽出したDNAについてSouthern法によりCTG repeatを解析した。その結果、CTG repeatは正常では5-35回の繰り返しであるが、先天性重症DMではCTG repeatは平均2500,先天性DMでは平均1500,成人DMでは平均700,無症状DMでは平均80回とCTG repeatの増大が大きいほどDMの発症が早くそして重症であつた。25名の内の24名の先天性DMはDM母より伝えらmeiotic instabilityの存在を確認したが、父親由来の先天性DMの存在を遺伝子レベルで初めて明らかにした。先天性重症DM剖検各臓器におけるCTG repeatは一様にリンパ球に比べて増大し、臓器間で軽度のCTG repeatの増大の差を認めた。先天性DM児の生検筋におけるCTG repeatはリンパ球に比べて全ての症例で増大していたのを明らかにした。DM-PK遺伝子がコードする蛋白はserinethreonine protein kinaseと相同性があるが未知である。この蛋白の機能と局在を明らかにするためにDM-PK遺伝子のprotein kinaseと相同性があるドメインから推定されるアミノ酸から合成ポリペプチドを合成し抗体を作製し生検筋と培養筋におけるこの蛋白の局在を解析した。生検筋では神経筋接合部、筋紡錘、筋膜、再生筋細胞の細胞質に、培養筋では筋芽細胞および筋管細胞の細胞質に発現し、DM筋では発現の減少が認められた。RT-PCRを用いて先天性DMの各種組織におけるmRNAを定量的に解析した処、コントロールに比べて著明に減少していることを明らかにした。
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