研究概要 |
心エコー法を用い,次の如き成果を得た. 1.正常新生児の左心拍出量と臓器血流 左心拍出量は,出生直後に2倍の増加を示すも,8時間以降漸減する.一方,腎血流量は不変であったが,脳,腸管への血流は漸増を示した. 2.分娩様式の循環系に及ぼす影響 成熟新生児においては,分娩様式による差はみられなかった/ 3.新生児の筋性中隔欠損の頻度と推移 正常新生児の発生頻度は,約2%であり,1年以内にその78%が自然閉鎖することを示した.また,欠損孔の形態変化から,ヒトの筋性中隔欠損の発生に"Trabecula"の融合が主な機転であることを示唆した. 4.胎児心不全の評価法 三光弁逆流の半定量化,右室,左室の径,面積短縮率の評化が有用であることを示した. 5.左,右肺動脈サイズの評価法 胸骨左緑上部からの新しいアプローチを開発し,血管造影で良好な相関を示した.本方法は,肺動脈分枝狭窄の診断にも有用であり,種々の先天性心疾患に応用しうる. 6.新生児の肺静脈血流の変化 出生後早期に連続性の血流速波型を認めること,吸気時の"pooling effect"の少ないことを示した. 7.胎児心エコー検査の役割 先天性心疾患の診断のほか,不整脈,さらに卵円孔閉鎖,動脈管閉鎖などのまれな症例を報告した.
|