研究分担者 |
内山 利満 東邦大学, 医学部, 教授 (50057709)
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 教授 (40010110)
藤岡 芳実 東邦大学, 医学部, 助手 (30256739)
清水 教一 東邦大学, 医学部, 助手 (60256740)
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研究概要 |
先天性銅代謝異常症の代表的疾患であるWilson病について,セルロプラスミン(Cp)および原因遺伝子に対し分子生物学的検討を行った.Wilson病患者において,血清セルロプラスミン値の低下は極めて特徴的な所見であり,診断にも利用されている.最近開発された活性型Cpのみを認識する抗holo-Cp monoclonal抗体は,血液中のholo-Cpを選択的に測定できるため,従来生理的低Cp血により本症の診断が困難であると考えられていた新生時期においても診断可能となった.新生時期の血清中のholo-Cp値は本症患者のそれよりも有意に高値を示していた.この方法を用いたWilson病新生時期マススクリーニング法の確立について検討を行っている.また本症患者においては,total-Cpに対するholo-Cpの値が著しく低下しており,本症におけるholo-Cpの合成障害の存在を示唆していた. Wilson病の原因遺伝子は,銅欠乏性代謝異常症であるMenkes病の原因遺伝子との相同性を利用してクローニングされた.6個の銅結合部位を持つ膜蛋白であり,cation transport P-type ATPaseの一種である.本症患者の血液より得たgenomic DNAおよび肝組織より得たRNAに対しSouthern blot法およびNorthern blot法によるこの遺伝子の解析を行った.Southern blot法にては,kb単位の遺伝子の欠失・挿入などは認められなかった.健常人を含めて検討した結果,制限酵素切断断片多型と思われる多型を認めた.これを利用した家系調査などが可能であると考えられた.またNorthern blot法において,患者肝臓の原因遺伝子のmRNAはサイズ・量ともに正常コントロールと差を認めなかった.この結果より,この患者の遺伝子異常はmRNA発現に影響を与えない異常(点突然変異などの小さな異常)であることが推察された.
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