研究概要 |
1. involucrin, filaggrin, SPRR,nPKCηの局在;正常表皮顆粒層にほぼ一致し1-2層に細胞質に陽性。involucrinは有棘層上層から顆粒層にかけて2-3層に陽性でより広く発現。乾癬ではinvolucrin, SPRR,nPKCηは有棘細胞に広く発現し、filaggrinはほぼ陰性。SPRRは乾癬、有棘細胞癌、水疱型魚鱗癬様紅皮症、SLE、扁平苔癬において発現が増強し、尋常性魚鱗癬では減弱。基底細胞上皮腫は陰性。nPKCηとSPRRの発現は相似し、SPRR産生、cornified envelope形成にnPKCηが関与していると考えられる。nPKCηは表皮角化細胞の最終分化、cornified envelope形成に関わる酸素であろう。insitu hybridization法によりnPKCηのmRNAの発現の検索を行っている。2.乾癬における膜骨格蛋白発現;抗4.1蛋白抗体は、乾癬皮疹部では、immunoblot法により80Kda, 45KDaの蛋白を認識した。無疹部では正常皮膚と同様に80KDaが反応。免疫組織学的に皮疹部では有棘層細胞質に、無疹部基底層に細胞膜に沿って陽性。発現の変化は乾癬における角化異常、増殖と関係すると考えられる。病因でいる可能性あり検討している。3.角化細胞の活性酸素産生と情報伝達;表皮角化細胞のUV照射によるH202産生を直接測定する新しい検索法を開発した。dihydroxi-rhodamine123は、細胞内でH202存在下で蛍光性のrhodamine123に変換する。同色素を角化細胞に取り込ませ、490nm励起での蛍光を指標に、flowcytometer、inverted micrograohを用いて角化細胞内のH202を測定した。UV照射が細胞内H202を容量依存性に増加させる。UV波長により作用に差がある。TPAなどの細胞情報伝達刺激が角化細胞にH202産生させることが報告されており、protein kinase C活性化、細胞内Ca^<2+>濃度変動を引き起こす刺激は、活性酸素産生を伴うと考えられる。活性酸素産生機構、細胞に対する影響は明らかでない。産生機序の解明、その役割、産生抑制方法、UV照射による活性酸素産生機構の研究を進めている。
|