研究概要 |
研究実績の概要は次の通りである。 1)MRL/MP_<-+/+>マウスの2年間におよぶ観察で,生存率や皮疹出現率を把握した。 2)同マウスの皮疹は雄で18ヶ月令後,雌で13ヶ月令後に50〜70%の皮疹出現率を示した。 3)表皮細胞への免疫グロブリンの沈着は,2)の加令マウスでおよそ50%の頻度で観察された。 4)電顕的観察では,免疫グロブリン沈着の有無による形態学的差を認めなかった。 5)皮疹と表皮細胞核への免疫グロブリン沈着の有無の間に有為な差はみられなかった。 6)加令MRL/Mp_<-+/+>(MRL/n)マウスで,表皮細胞核に蛍光抗体直接法で免疫グロブリンが沈着する血清をサプリングした。その血清を,保存(-80℃)していた新生仔マウス由来の培養表皮細胞と反応させた。反応方法は,後固定法によった。高率に,血清の培養表皮細胞核へ結合することが判明した。 7)BALB/cマウス由来の表皮細胞株によっても同様の結果が得られた。 8)蛍光抗体直接法陽性マウス血清の培養表皮細胞核への結合性は,新生仔マウス由来の細胞が2)のPam212細胞に較べて,有意の相関性がみとめられた。 9)蛍光抗体直接法陽性マウスでは,血清中の抗RNP抗体が高いことが判った。 以上より,加令MRL/nマウスは,膠原病の一つである混合性結合組織病の皮疹モデルになる可能性が明らかとなった。
|