研究概要 |
剥離表皮の培養と培養期間の設定 30歳から60歳の正常ヒト皮膚をデスパーゼによって処理し,表皮と真皮を分離した.それらの表皮をマトリゲル人工真皮上でKGM培養液中で培養し,3日,7日,14日後に組織学的,免疫組織学的に観察した.3日目までは剥離表皮は生着している様に見えたが7日目以上では変性,死滅していた.3日目の培養表皮の下面には所々に4型コラーゲンの反応性が観察された.培養表皮-人工真皮境界部に抗アミロイドPコンポーネント抗体による反応性は認められなかった. 皮膚アミロイド症患者表皮の培養とアミロイド物質などの検出 苔癬型皮膚アミロイド症患者4例の皮膚をデスパーゼ処理にて表皮真皮を分離し,表皮を上記の方法によって培養し3日目に免疫組織学的に検討した.2例では表皮は変性死滅し,人工真皮より遊離していた.2例では部分的に人工真皮に生着していた.人工真皮に生着している部分の境界部人工真皮内では4型コラーゲンがややび慢性に発現されていた.抗アミロイドPコンポーネント抗体に陽性の物質が人工真皮内及び基底細胞内にわずかにみられた. 考案 本実験により線維芽細胞を含まない人工真皮上での皮膚アミロイド症患者の培養表皮より基底板成分とともにアミロイド物質が生成された可能性がある.しかし,それを確認するために表皮培養の手技を改善し,より長期間の培養表皮の生存をはかる必要があると思われた.
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