研究概要 |
1)イディオタイプ ネットワークの解析 ヒト高分子メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)のinternal imageを有する抗イディオタイプモノクローナル抗体(抗Id mAb)MK2-23を同系マウスに免疫して8種類の抗抗Id mAbを作製した。これらの抗抗Id mAbと抗HMW-MAA mAbの反応性について免疫組織学的に比較検討した。 抗抗Id mAbは抗HMW-MAAと同様に凍結切片上のメラノーマ細胞と反応したが、その染色の強さは抗HMW-MAA mAbよりも弱く、また8種の抗体の反応性はそれぞれ微細な点で異なっていた。 さらに、ハイブリドーマ細胞からRNAを抽出して、variable regionにおけるアミノ酸配列を比較検討したところ、抗抗Id mAbと抗HMW-MAA mAb間ではheavy chainでは80-95%,light chainでは85-100%のhomologyが認められた。 以上の所見は抗Id mAbがinternal imageを明かに有し、メラノーマ抗原(HMW-MAA)を中心に抗HMW-MAA mAb, 抗Id mAb,抗抗Id mAbがイディオタイプ ネットワークを形成しており、さらに抗HMW-MAA mAbと抗抗Id mAbの相似性を免疫組織学的及び分子レベルで証明するものである。 2)抗Id mAbによる細胞性免疫の誘導 抗Id mAb MK2-23をBALB/cマウスに前投与を行ない、培養メラノーマ細胞(HMW-MAAを有する)を右足蹠に、対照として培養リンパ球(HMW-MAAを有さない)を左足蹠に接種した。同部の腫脹を測定し両者を比較すると24-72時間にわたりメラノーマ細胞を接種した方が有意に腫脹していた。 このデータは抗Id mAbがメラノーマ抗原(HMW-MAA)に対して細胞性免疫を誘導できることを証明するものである。
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