研究概要 |
短寿命陽電子放出核種^<11>C-L-methionine(^<11>C-M.膵実質に高集積)およびあるいは2-deoxy-2-[^<18>F]fluoro-D-glucose(^<18>FDG.腫瘍に高集積)をヒトに投与し,ポジトロンCT(PET)により膵癌を中心とする各種膵疾患の生化学的代謝相を画像化した。それらの解析により,これら膵疾患診断への本法の有用性を検討した。 1.膵癌と診断され,両薬剤併用-PETにて画像解析可能例は22例となった。両薬剤共にあるいはいずれかにより21例で膵癌診断が肯定された。現行の各種膵疾患診断法では手術前診断が困難な粘液産生膵癌を2例得たが,これらをPET診断し得た。^<11>C-MPET画像上の^<11>C-Mの膵への取り込み(Differential Absorption Ratio:DAR)を求め,肝のそれとの比較比で,膵のDARを準標準化し,その値を各種膵疾患で比較検討した。その値は膵癌と膵良性疾患との間に有意な差が示され,^<11>C-Mの膵への取り込み代謝相から膵癌診断もし得ることを知った。 2.メチオニン欠如アミノ酸管理下ラットの,^<11>C-Mの臓器分布を検討した。実験準備の不備,技術の非習熟のため,膵のDARのみ,他臓器のそれのように増加しなかった。習熟した実験の再行が必要とされ,それは必ずやメチオニン飢餓膵への^<11>C-M取り込み相を正確に知ることができると思われる。その結果は様々なPET画像解析法に利用できるであろう。 以上,^<18>FDG,^<11>C-M PET法は膵疾患診断法に新たに,優に参画し得る方法たり得る成果を得た。
|