研究課題/領域番号 |
05670818
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
藤井 充 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80199299)
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研究分担者 |
村上 新治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30142756)
深津 亮 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10113614)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 視空間認知 / EYE-HEAD COORDINATION / 頭部座標系 / 網膜座標系 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)については神経心理学的研究から脳の後方連合野の機能障害により視空間障害や構成障害が病初期から出現することが知られている。これら視覚認知に関係した特有の症状こそADの痴呆を特徴づけていることから新たな方法論である眼球運動データ処理システムを用いてADの注視運動を解析してきた。これまでの研究からADの視覚情報処理には身体座標系の障害が生じていることが示唆された。 そこで本年度はvision analyzerと磁気センサー(Polhemous3-SPACE)を組み合わせた装置を用いて初期ADの身体の動きのうち基準座標系とされる頭部座標系および網膜座標系の協調運動を水平方向に25度、50度に視標を設置しEYE-HEAD COORDINATIONを知ることを目的としてMID、Parkinson病など他の痴呆性疾患を疾患対象群として健常老年者と比較検討した。その結果他の痴呆性疾患と老年健常者では頭部運動と眼球運動はよく協調して運動することが観察されたがADでは殆ど頭部運動が生じず眼球運動のみで指標を捉えようとしていることが明らかになった。 目の前の視覚世界は身体の動きに伴って不安定に形を変え動きと連動してその見えを変化させる。しかしこの身体の動きそのものが対象の恒常的な存在を維持するものであり、この能動的な身体の動きこそ世界がそこにあり続けるという体験の基盤となり視覚情報処理はこのような身体各部の運動により能動的に遂行されている。 サッケードのみで指標を捉えることができる範囲は15度(水平方向)までとされているが上記結果からADでは頭部座標系と網膜座標系の協調運動に障害が生じており、従って身体の動きを軸にした世界との関わりの中で不変なものの世界とその背後に広がる安定した空間の実在が少なくとも変化を蒙り他の痴呆性疾患や老年健常者とは異なった視空間認知が行われていることが推測された。
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