研究課題/領域番号 |
05670846
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐倉 宏 東京大学, 医学部(病), 助手 (70240710)
|
研究分担者 |
江藤 一弘 東京大学, 医学部(病), 医員
門脇 孝 東京大学, 医学部(病), 助手 (30185889)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | グルコキナーゼ / インスリン非依存性糖尿病 |
研究概要 |
1.9才で発症した女児のインスリン非依存性糖尿病の患者において、グルコキナーゼ遺伝子第7エクソンの261番目のアミノ酸がグリシンからアルギニンへ変異していることが同定された。家系分析の結果、発端者の兄と母にも同じ異常が同定され、経口糖負荷試験にて三人とも糖尿病型を呈していることが確認された(佐倉ら、J Clin Endocrinol Metab)。この変異により酵素活性はほぼ消失するので、この変異が本症例とその家族の糖尿病の原因であると考えられた。この報告は、本邦で最も早くグルコキナーゼ異常症を同定したもののひとつである。 2.グルコース刺激に対するインスリン初期分泌は軽度低下していた。クランプ試験の結果、末梢組織でのグルコース利用率は正常であったが、肝臓でのグルコースの取り込みは著しく減少していた。したがって、グルコキナーゼ異常症による糖尿病の発症機序には、膵臓ランゲルハンス島β細胞におけるインスリン分泌の低下と肝臓におけるグルコースの取り込みの低下がともに関与していると考えられた(佐倉ら、Lancet)。この研究は、世界で初めてグルコキナーゼ異常症によって肝臓での糖代謝異常が起こることを示した研究である。 3.家系内に糖尿病が多発している比較的若年発症のインスリン非依存性糖尿病の患者計200人以上のグルコキナーゼ遺伝子変異をPCR-SSCP法でスクリーニングした。グルコキナーゼ遺伝子全体にわたり数種類のSSCPパターンの変化が見いだされたが、1例を除いて残りのすべてはアミノ酸変化の伴わない変異や多型性であった。したがって、グルコキナーゼの変異は日本人のインスリン非依存性糖尿病の原因としては稀であると考えられた(江藤ら、Diabetes)。この研究は、世界で初めてグルコキナーゼ異常症の頻度を、多数の患者の解析により報告したものである。
|