研究課題/領域番号 |
05670854
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
柏木 厚典 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20127210)
|
研究分担者 |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00209363)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 糖尿病 / 老化 / 高血糖 / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / ICAM-1 / 酸化LDL / グルタチオンレドックスサイクスル / 糖尿病性血管障害 / 遺伝子発現 / 活性酸素 / ペントース燐酸経路 / ラジカルスカベンジャー / 動脈硬化症 |
研究概要 |
老化・糖尿病における動脈硬化症の発症・進展を誘導する要因として、血管壁における活性型酸素の産生と分解の調節異常が重要である。特に高血糖は血管内皮細胞での活性酸素処理の異常をきたし、その結果過剰となった活性型酸素により血管内皮細胞の活性化をきたす遺伝子発現が誘導され、血管機能が障害される可能性がある。そこで本研究では、1)高血糖下でのペントース燐酸経路活性化異常とグルタチオンレドックス(GR)サイクルの活性低下:高グルコース状態で、活性酸素処理系として重要なGRサイクルの活性低下による血管内皮細胞障害を報告した(Kashiwagi ct al Diabetes 1992,Kashiwagi ct al. Diabetologia 1994,Asahina et al Diabetes 1995)。これら異常は、アシドーシス状態でも認められた(Ikebuchi et al Metabolism 1993)。これら異常はラジカルスカベンジャーにより改善し(Kashiwagi et al.Diabetes 1991 1991)、更にピンビル酸により是正された(kashiwagi et al Am J Physiol投稿中)。2)高血糖状態に伴う血管内皮細胞の活性化遺伝子発現異常:高グルコース状態は浸透圧効果を介して細胞間接着因子(ICNA-1)の遺伝子発現を特異的に誘導し、単球の内皮細胞への接着を増強する(Taki et al. Atherosclerosis投稿中)。しかしこの作用は酸化ストレスの亢進によるものではなかった。3)酸化LDLによる血管内皮細胞遺伝子発現異常:酸化LDLまたはその主要な構成要素であるLysoPCにより血管内皮細胞で単球遊走因子MCP-1(Monocyte chemoattractant protein-1)の遺伝子発現が誘導された(Takahara et al Metabolism投稿中)。「まとめ」このような結果から糖尿病に伴う代謝異常(高血糖・高浸透圧・アシドーシス、脂質酸化)により、血管内皮細胞は酸化ストレスの影響を受け易く、更に糖尿病状態では、単球と血管内皮細胞間相互作用が増強され、糖尿病性血管障害を導く可能性が示された。今後血管の老化を予防するという観点から、糖尿病患者でin vivoにおける酸化ストレスを抑制する臨床的研究を行うと共に、糖尿病患者における酸化LDL濃度の検討とその是正を検討する。
|