研究課題/領域番号 |
05670860
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古賀 正史 大阪大学, 医学部, 助手 (00186652)
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研究分担者 |
佐藤 文三 大阪大学, 医学部, 助教授 (30124770)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 下垂体腫瘍 / 核内レセプター / グルココルチコイドレセプター / GHRHレセプター / c-fos / ACTH / GH |
研究概要 |
下垂体腫瘍におけるホルモンの過剰分泌はpositiveあるいはnegative feedback機構の破綻によると考えられる。本研究はこの下垂体腫瘍のホルモンに対する不応状態を解明するために核内レセプターや細胞膜レセプターの変異の可能性あるいはホルモン合成に関与する転写因子の発現に関し検討した。5例のACTH産生下垂体腺腫全例にグルコココルチコイドレセプター(GR)mRNAの発現を認め、そのサイズは正常のそれと同一であった。RT-PCR SSCPにてGRの変異の可能性を検討したが、異常を認めなかった。次にpreopiomelanocorticotropin(POMC)遺伝子の転写調節にAP-1 complexが関与していることが判明しているために下垂体腫瘍におけるc-fosおよびc-jun mRNAの発現を検討したところACTH産生腺腫全例にc-fosおよびc-jun mRNAの過剰発現を認めた。この現象がACTH産生下垂体腺腫の腫瘍増殖およびホルモン過剰分泌に関与しているかについてはさらに検討が必要である。 次にGH産生下垂体腺腫におけるGHRHレセプターの変異の可能性を検討した。G proteinカップルレセプターの機能に重要である3番目の細胞内領域を含む部分をPCRにて解析した。15例全例に従来報告されているGHRHレセプターと同じサイズのバンド(S型)が観察された。このバンドの塩基配列を8例解析した限り変異は認めなかった。さらに15例中13例にS型より561bp大きいバンド(L型)が存在した。L型は塩基配列の解析により中途にstop codonがあり蛋白に翻訳されるとtruncated formになることが推測された。ただしL型は正常下垂体にも観察されており、腫瘍特異的な発現ではなかった。一方L型が存在しない2例のGH産生下垂体腺腫はin vivoにおいてGHRHに対するGHの反応が見られず、L型のGHRHレセプターがGHRHの反応に必須の働きをする可能性が示唆された。この分子機構の解析は今後の課題である。さらにACTH産生下垂体腺腫5例中2例、非機能性下垂体腺腫2例全例にGHRHレセプターのS型およびL型の発現を認めた。これらのGHRHレセプターの異所性発現はin vivoでの寄異反応の原因になるのみならず、腫瘍増殖の一因になる可能性が示唆された。
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