研究概要 |
アクチビンによる下垂体ホルモン分泌調節を研究する目的でインヒビン・アクチビンのα,β_A,β_BサブユニトmRNA,及びアクチビンII型レセプターmRNAの検出法を確立した。。ホルモン分泌の相異に関わらずPCR法によりヒト下垂体腺腫組織中にα,β_A,サブユニットmRNA及びアクチビンレセプターが高率に発現していることを認め、アクチビンが下垂体組織内で作られ、下垂体に作用部位を有することを確認した。また、GH,GTP産生腺腫、非機能性腺腫及び1例の正常下垂体でアクチビンの免疫染色が陽性であった。次にアクチビンmRNAの発現機構について検討をするため、定量的RT-PCR法によりα,β_A,β_BmRNAの定量を試み、感度のよい測定法の確立に成功した。β_AmRNAは3例宛のヒトGH,PRL及び非機能性腺腫でそれぞれ0.383±0.071、0.672±0.140、0.957±0.414molecules/cellで腫瘍の種類により発現量に有意差はなかった。一方、αmRNAはすべての腺腫で測定感度以下の低値であった。それぞれの培養組織に10^<-8>Mアクチンの添加によりβ_AmRNAは9例中5例で低下傾向を示した。これらの成績からヒト下垂体腺腫ではβ_AmRNA発現量はαmRNAに比し多く、インヒビンに固有のαサブユニットに比しインヒビン、アクチビンに共通のβサブユニットが主要な生成物であり、その発現はアクチビン自身により抑制的に調節されることが示唆された。以上によりヒト正常下垂体及び下垂体組織でのアクチビンの発現と調節について当初の目標を達成しえたと考えている。
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