研究概要 |
巨核球系前駆細胞をin vitroで培養し、培養巨核球を成熟させると巨核球は胞体突起を伸展させ、突起にはpropleteletの形成が観察される。 一方、骨髄静脈洞の走査電顕よる観察では骨髄内から血管内へ胞体突起が伸展し、胞体突起は血管内皮細胞に接着しながら成長する像が観察される。この所見は巨核球の血小板放出機構には巨核球と血管内皮との接着機構が重要な役割を果たすと推察される。平成5-6年度に以下の点を検討した。特に期間中にthrombopoietin(Tpo:Mpl-ligand)が精製されたため急遽実験に追加した。 1)胞体突起形成巨核球にいかなる接着因子が発現するか 2)巨核球と血管内皮との間にどのような接着機構が存在するか 3)巨核球にどのような刺激を加えれば胞体突起から血小板を放出するか 血小板に発現する接着因子(CDw49b,CDw49e,CDw49f,CD54,CD31,CD62,CD42b)は巨核球のみならず胞体突起形成巨核球にも発現がみられた。なかでもCD31(PECAM-1)は胞体突起の先端に集積し、胞体突起が血管内皮細胞上を伸展する特に重要な役割を担うことを明かにした。 マウス骨髄から分離精製した巨核球をIL-6(100ng/ml),IL-11(100ng/ml),mur ine Tpoで各々刺激した後、血管内皮細胞シ-ツ上で培養し胞体突起率を算定した。巨核球をIL-6,IL-11,m-Tpoで刺激した時の突起形成率は12.5±3.3%,10.5±3.8%,13.5±2.6%と無添加時の突起形成率8.5±4.5%と有意差は見られなかった。 しかし、刺激巨核球を血管内皮細胞上で培養すると、突起形成率は18.3±4.6%,17.0±5.7%,32.1±12.6%と無添加時の突起形成率14.9±8.4%に比し有意の増加を認めた。とくにm-Tpoにその効果が著明であった。 上の結果から巨核球の最終成熟(血小板産生)にはサイトカイン以外に細胞間相互作用の関与が示唆された。
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