研究概要 |
1.アクチビンの骨髄ストローマ細胞における産生と作用:(1)ストローマ細胞におけるアクチビンの産生調節機構・作用;マウスストローマ細胞株ST-2,PA-6において,bFGF,PDGFは、用量依存性にアクチビンmRNAレベルを約3時間後をピークとして上昇させ、アクチビンの分泌を促進する。このmRNAレベルの上昇は、ActD処理により消失することから,新たな転写を介したものであると考えられる。また、刺激3時間後のActD処理でmRNAレベルはより長く維持され,CHX処理で上昇することから,アクチビンmRNAの安定性に関わる半減期の短い蛋白の転写,翻訳が、アクチビンの産生調節に関与していることが示唆された。TGF-βは、低濃度でST-2のDNA合成を促進し,高濃度では抑制的に作用する。一方、アクチビンは、用量依存性にDNA合成を促進し、この作用はbFGF,PDGFと相乗効果を示した。(2)ストローマ細胞におけるアクチビンのオートクリンループ;アクチビン添加でヒトストローマ細胞株KM102のアクチビンmRNAレベルの上昇が認められた。ST-2,PA-6,KM102においてアクチビン受容体タイプII,IIBのmRNA発現が認められた(筑波大 桜井武先生との共同研究)。さらに、bFGF,PDGFによるストローマ細胞のDNA合成促進は,アクチビンの特異的抑制因子であるフォリスタチンによって一部抑制された。以上から、bFGF,PDGFの作用に、アクチビンのオートクリンループによる増幅機構の関与が考えられた(投稿中)。2.血液細胞分化と細胞周期制御:in situによる解析が遅滞しているため、PMAによって巨核球系に分化するMegO1s細胞を用いて、血液細胞分化の細胞周期制御を検討した。サイクリンA,B,C,D1,D2,D3,Eの発現をノザン解析で検討した結果、G1/S移行期に細胞周期が停止したままで分化形質の発現増強が観察され、細胞周期を脱却しないことが示唆された。
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