研究課題/領域番号 |
05670914
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 西南女学院大学 (1994) 九州大学 (1993) |
研究代表者 |
工藤 二郎 西南女学院大学, 保険福祉学部, 助教授 (90148940)
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研究分担者 |
林田 一洋 九州大学, 医学部, 助手 (60180981)
石橋 大海 九州大学, 医学部, 助教授 (80127969)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 細胞分化 / アポトーシス / NADH脱水素酵素 / 白血病 / ロテノン / ミトコンドリア阻害剤 / HL60細胞 / HC60細胞 / チトクロームC酸化酵素 / ネクローシス / KCN |
研究概要 |
50nMのロテノンのHL60細胞への添加にて細胞増殖の減弱がみられたが、7日後の生存率は97%を超えていた。細胞周期ではG2+M期の増加が顕著であった。一方、1.6nMのPMA添加では細胞は大部分付着するようになり、細胞周期ではS期が減少し、G1期が増加していた。5μMのロテノンでは細胞は3日でほぼ100%死亡した。この濃度では添加の6時間後にG2+M期の増加が顕著であった。興味あることにミトコンドリアのcytochrome c oxidaseの特異的阻害剤であるKCNを2mMの濃度で加えるとG2+M期の減少が起こり細胞は死亡した。 50nMのロテノンの添加にて細胞の表面抗原の変化を検討したところCD38陽性細胞を増加させ、CD13陽性細胞の蛍光強度を増加させた。一方、PMAはCD11b陽性細胞を増加させ、CD4陽性細胞を減少させた。 50nMのロテノンの添加にてND2とCO1のmRANは無添加細胞に比し、変化がみられない。しかしPMA添加細胞ではND2とCO1のmRNAはともに減少した。 HL60細胞に5μMのロテノンを添加して細胞の形態を観察したところ、36時間後には細胞はクロマチン構造を失い、核の分節化がみられ、電顕上でも12時間後にはマイクロビライの消失、核膜にそってのクロマチンの濃縮と胞体内の空胞形成がみられ、24時間後には核の分節化が起こっていた。DNAの電気泳動では6時間以後に200bpのladder形成が確認されアポプトーシスが証明された。一方、2mMのKCNではladder形成が起こらず、ネクローシスと考えられた。 この研究により軽度のミトコンドリア抑制によりHL60細胞の表面の形質が変化し、分化と類似の変化が現れることが明らかとなった。しかし、この変化は今までに知られているPMAやDMS0による分化とは大きく異なっており、細胞の機能的・形態学的な変化の状態や可逆的か否かも不明である。さらに興味ある結果は、ミトコンドリア阻害剤のNADH脱水素酸素の特異的阻害剤であるロテノンとcytochrome c oxidaseの特異的阻害剤であるKCNは、同様にcytosolic ATPの抑制を起こすにもかかわらず、細胞死の様態が前者ではapoptosisであり、後者ではnecrosisであったことである。
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