研究概要 |
我々は以前よりB細胞腫瘍の病因および病態解析の手段として、細胞株の樹立を試みている。今回は新たにバ-キットリンパ腫由来細胞株(KHM-10B)と多発性骨髄由来細胞株(KHM-11)との樹立に成功し、さらにこれらの細胞株を用い病態解析を試みた。 KHM-10Bの染色体分析ではバ-キットリンパ腫に通常認められる8q24転座が認められず、またサザン法でもc-mycの再構成は認められなかった。しかしfluorecence in sity hybridization(FISH)法でc-mycがλ鎖領域に転座していることが明らかになった。hydroxyureaとthimidineで同調培養することが出来たが、他のバ-キットリンパ種由来細胞株(Raji)と同様、c-myc,maxは細胞周期に関係なく恒常的に発現されていた。 KHM-11は薬剤耐性で高LDH血症を示した多発性骨髄腫患者より樹立された。形質細胞に通常認められる抗原であるCD38,PCA-1が陽性である他、CD45も陽性であった。IL-6がKHM-11の培養上清中に認められ、その上清によってKHM-11自身の増殖が増強されたことから、autocrine機構の存在が示唆された。 以上2つの細胞株(KHM-10B,KHM-11)はB細胞腫瘍の病態解析に有用と考えられた。
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