研究概要 |
1.カイロミクロンレムナント粒子の分離・精製は、III型高脂血症患者血清から比重1、006より軽い分画を超遠心法にて分離し、さらにモノクロナール抗ヒトアポ蛋白A1、アポB_<100>を用いたイムノアフィニーゲルと、このゲルに結合しない分画をレムナント粒子とした。なお培養細胞に添加前 組織培養用のPBS(-)_<ph>7.4の透析液で24時間透析した。 2.上記のレムナント粒子を、ウシ系球体より分離した培養内皮細胞およびCDラット系球体より分離したメサンギウム細胞に添加し、IL-1beta,IL-6、TNF-alphaなどのサイトカインの放出が培養液上澄中に認められるのかELISA法で測定した。さらにICAM-1が発現するかPAP法で検討した。なお添加するレムナント濃度はそれぞれ0mug,10mug,50mugおよび100mug/ml^-100mug/ml proteinに調節、細胞数は5×10^4〜10^5に調整,無血清倍地で24wellの培養plateを使用し,レムナント粒子を添加し48時間培養した。 3.5週齢のZucker ラット片腎摘除後,20%牛脂食を8週間投与して作製した単状糸球体硬化症(FGS)モデルの残腎よりメサンギウム細胞を分離し,前述した同様の実験を行った。 4.正常糸球体より分離した内皮細胞、およびメサンギウム細胞に種々の異った濃度のレムナント粒子を添加した結果,上澄中の種々のサイトカイン濃度は20pg/ml以下で、接着分子の発現も認められなかった。一方,FGSラット培養メサンギウム細胞からは50および100mugのレムナント濃度添加で,IL-1〓およびIL-6それぞれ40pg/mlの分泌が認められ,メサンギウム細胞にICAM-1の発現が認められた。 脂質代謝異常とFGS発症になんらかの関連があることが示唆された。
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