研究概要 |
1.HLA抗原のDNAタイピング法の確立 特にHLAクラス2抗原系の血清学的検出法は、主としてその抗体の作成の困難さから長年困難を極めてきた。PCR法の開発はHLA-DNAタイピングを可能としたが、その方法には多くのアプローチが試みられている。われわれはまずSSOP法におけるプライマーのデザイン、作成を試み、HLA-DR,DQ,DP抗原系の特異性をほぼ明らかにした。 しかし、SSOP法の手技の繁雑さが臓器移植の臨床応用への障壁となることから、新たにSSCP法を始めて導入し、最初にHLA-DP抗原系の解析を可能とした。本法は簡便さ、迅速性において臨床応用に最適な方法であることを確認した。更にSSP法とわれわれの開発したSSCP法の組み合わせが詳細なHLA抗原特異性の検出に有用であることも見いだした。 2.腎移植成績とHLAクラス2抗原適合性の検討 DNAタイピングによって腎移植におけるHLA抗原適合性の意義が明かにされようとしている。われわれは従来法ではほとんど不可能であったHLA-DP,DQ抗原系のもつ意義についての解析に研究の焦点を絞った。 その結果HLA-DQ抗原系の適合性が良好なほど移植成績が不良になるという極めて興味ある結果を見いだした。この事実は、疾患におけるHLA-DQ抗原が免疫抑制性機能をもつという従来の報告から考え合わせて、DQ遺伝子が免疫抑制性遺伝子である可能性を示唆する重要な発見と考えられた。
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