研究分担者 |
韓 一秀 東京大学, 医学部(病), 医員
井上 知巳 東京大学, 医学部(病), 医員
二川 憲昭 東京大学, 医学部(病), 医員
新海 宏 東京大学, 医学部(病), 医員
HAN Ilsoo University of Tokyo, Department of Intermal Medicine, Medical Fello
井上 知己 東京大学, 医学部(病), 医員
大谷 泰一 東京大学, 医学部(病), 医員
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研究概要 |
リパーゼおよびホスホリパーゼA2は,中性脂肪,レシチンの分解産物である遊離脂肪酸,リゾレシチンによって,膵細胞障害を引き起こす.両者を抑制するアルブミンの膵炎治療効果について,ラット実験モデルを用いて検討した.in vitroの実験で,還流膵の主膵管にタウロコール酸(1% wt/vol)を注入し,膵を持続的に還流した.門脈からの還流液内膵酵素濃度(アミラーゼ,リパーゼ)を膵障害の指標とした.その結果,アルブミンで膵を還流した場合には膵酵素濃度は有意に抑制された.また,in vivoの実験で,タウロコール酸の膵管内注入と同時にアルブミンを膵間質内に注入,6時間後に屠殺して,腹腔内の脂肪壊死の拡がりおよび膵実質壊死の程度を,肉眼的あるいは組織学的に観察したところ,アルブミンは強力に脂肪壊死の拡がりおよび実質壊死を抑制した. また,trypsinに対して阻害作用を有するurinary trypsin inhibitor(UTI)の膵障害抑制作用について,ラットの還流膵モデルを用いて検討した.タウロコール酸(1% wt/vol)を主膵管から注入,門脈回収液中の膵酵素の濃度および還流後の膵を組織学的に画像解析装置を用いて検索した.その結果,UTIは回収液中の膵酵素濃度を低下せしめることはなかったが,組織学的に膵の実質壊死および間質の浮腫を,コントロール群に比較して有意に減少した. 以上の結果は,膵還流実験における門脈回収液中の膵酵素濃度が膵の組織学的変化を必ずしも反映していないことを示している.還流膵を用いた実験を評価する際には,in vivoの実験と組み合わせたり,あるいは還流後の膵組織を組織学的に検索することが重要であろう.また,UTIがタウロコール酸による組織学的膵障害の程度を減ずることを示している.
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