研究概要 |
基礎研究:ラットに70%肝切除を施行し,interleukin-2 (IL-2)を持続門注し,肝再生に与える影響を検討した.IL-2投与により死亡したラットは認めなかった.肝再生は,BrdU Indexおよびmitotic Indexにて観察したが,IL-2による影響は認めなかった.さらに,GPT, ALP, Albuminの各値にも影響を与えなかった.Gap-junctionの染色では,IL-2投与群でやや再発現が遅れたものの,肝切除後6日目には対照群と同様であった.以上より,肝切除後の肝血管内IL-2投与は肝再生に対してほとんど影響せず,安全に行えることが判明した. 臨床研究:肝細胞癌患者に対して、肝切除を施行し、術後2週目より肝動注免疫療法(recombinant interleukin-2の持続肝動注(800,000JRU/day x6, 4週間),OK-432の肝動注(5KE/2W, 2回)と筋注(5KEx3/4W),および極めて少量のadriamycin (10mg/2W, 2回)とcyclophosphamide (300mg/2W, 2回)の肝動注、famotidine (40mg/day)の経口投与)を施行した。本療法施行12例と非施行38例を比較したところ,施行例の3年生存率が100%であったのに対し,非施行例では60%有意差を認め,本療法の有効性が確かめられた.また,本療法施行後に肝切除を施行した症例の切除標本での検討により,本療法が細胞障害性T細胞を活性・浸潤を誘導し,癌細胞をアポトーシスに陥らせることが示唆された.
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