白血球除去フィルターは現在臨床にてひろく使用されているセパセル(旭メディカル社)を使用した。濾過速度は全血で3〜7ml/分、Ht15〜20%に調整した灌流液で11〜16ml/分であったが、濾過回数が増加すると急速に速度は低下し、長時間の連続的な使用は困難と判断された。ヘパリン化家兎血を用いた灌流では門脈圧は20cmH_2O0以下で、肝表面よりの灌流液の漏出もわずかで、安定した灌流が可能であった。ECは、1時間0.833、終了時0.781、灌流液中ケトン体比、1時間0.64、終了時0.54で、白血球フィルターあるいはcyclosprin Aの使用による有意の差はみられなかった。ヘパリン化ヒト血を用いた灌流では、白血球フィルター使用例では、平均灌流時間5.8時間、門脈圧は30cmH_2O以下で、肝表面よりの灌流液の漏出もわずかで、安定した灌流が可能であった。EC は、1時間0.807、終了時0.762、灌流液中ケント体比、1時間0.73、終了時0.39であった。白血球フィルターを使用しない例では、3例中1例が門脈圧上昇のため1時間以内に灌流不可能となったが、他の2例は6時間の灌流が可能で、1時間ケント体比0.75、終了時ケント体比0.32と使用例に対し有意の差はなかった。 CPD使用家兎血を灌流液としたものは、白血球除去フィルターの使用の有無にかかわらず、2時間以内に灌流液の50%以上が肝表面より漏出し灌流を中止した。CPD使用ヒト血を使用した灌流では、3例中2例は2時間以内に灌流液の50%以上が肝表面より漏出し、灌流を中止した。2時間以上灌流した1例はケント体比も0.93と良好であったが、灌流液の漏出のため3時間32分で中止した。門脈圧は全例灌流中止まで30cmH_2O以下を保っていた。以上の結果により、白血球除去フィルターの使用は門脈圧の保持には有効である可能性があり、灌流中に発生する肝表面からの灌流液の流水の原因はCPDによる可能性が大きいものと推測された。
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