研究課題/領域番号 |
05671101
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
白水 和雄 久留米大学, 医学部, 講師 (20216203)
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研究分担者 |
笹富 輝男 久留米大学, 医学部, 助手 (20196190)
荒木 靖三 久留米大学, 医学部, 助手 (10184277)
諸富 立寿 久留米大学, 医学部, 助手 (80166462)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 神経周囲侵襲 / 神経接着分子 / 自律神経温存手術 / 直腸癌 / 癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
初年度には基礎的研究として病理解剖体を用いて肉眼的に自律神経の走行を確認し、さらに組織学的特徴を把握した。次年度には主として臨床的研究を進めた。方法:術前に直腸癌の生検組織を採取した後、凍結切片を作製しABC法による免疫組織染色を行い神経接着分子NCAMや癌抑制遺伝子DCCの存在を検索した。同一症例における手術後の切除標本における神経周囲侵襲(PNI)とNCAMやDCCと関連性を検討した。しかし、症例数が当初の目標に達しなかったので、PNIを含めたその他の病理組織学的諸因子とNCAMとの関連性については、過去の症例(パラフィン包埋標本)を追加し検討を行った。また、予後については追跡期間が長い過去の症例が適当と考え、これらの症例についてのみ検討した。結果:(1)NCAM陽性例はパラフィン包埋標本では47例、15.5%に認められた。(2)病理学的予後規定因子のなかでNCAMと統計学的に相関が認められたのはPNI、静脈侵襲、リンパ管侵襲、肝転移、深達度、組織型、リンパ節転移、炎症細胞浸潤で、多変量解析の結果、神経周囲侵覆が最も関連性が深かった。(3)治癒切除例の再発や生存率については、Dukes C症例では、NCAM陽性例の局所再発率が高い傾向が認められ、また、全経過の生存率は陰性例に比べて有意に低かった。(4)術前生検材料におけるNCAMやDCCの発現は、切除標本における発現とほぼ一致し、これらの組み合わせは、切除標本におけるPNIと極めて有意な関連性が認められた。結論:神経接着分子NCAMは予後因子として重要である。NCAMやDCCはPNIを予測し得るマーカーとなる可能性が示唆された。つまり、術前生検材料におけるNCAMやDCCの発現性は、自律神経温存術の適応を決定する良い指標となることが推測された。癌抑制遺伝子DCCはNCAMとともに自律神経温存術式の適応をきめる良い指標となり得ることが新たな知見として興味深かった。
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