研究概要 |
ラットグリオーマ細胞株C_6,9L,RG12を用いたN-カドヘリンm-RNAの発現とaggregation assayとの相関をみた予備実験より、グリオーマ細胞におけるN-カドヘリンm-RNAの発現と細胞接着とはおおむね相関を認めたが、細胞株によっては、N-カドヘリンの発現はあるものの接着能の低いもののあることが分った。このため、研究の実施計画を一部変更して、発現しているN-カドヘリンの機能と細胞接着能の相関を調べた。 すなわち、各細胞株C_6,9L,RG12におけるN-カドヘリンの細胞内ドメインとアクチン複合体のリン酸化に関与するC-Src m-RNAの発現をみた。それによると細胞接着能の高いRG12においてC-Src m-RNAの発現がみられたのに対し、接着能の低いC_6,9LではC-Src m-RNAの発現はほとんど認めることが出来なかった。次いでC-S rcm-RNAの発現のみられたRG12に対して、C-Src蛋白阻害に働くハーブマイシンを作用させてリン酸化を抑制し、細胞接着能の変化をみた。その結果、リン酸化抑制の程度に応じて細胞接着能は低下した。 以上より、グリオーマ細胞において発現しているN-カドヘリンの機能は、C-Srcによるリン酸化によって制御されている可能性が示唆された。
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