研究概要 |
難治性水頭症の病態解明の一つとして、ベンゾジアゼピン受容体の放射性リガンドであるRo-16-0124を用いて、水頭症における受容体の分布を脳血流との関連から明らかにする目的で、in vivo double autoradiographyを行なった。実験には先天性水頭症発症HTXラットを用い、生後3週間目で水頭症発症群と非発症群とにわけて検討を行なった。静脈確保後に^<125>I-Ro-16-0124(Ro)を投与し、その88分後に^<123>I-iodoamphetamine(IMP)を2分間かけて投与し、その後に脳を採取し、クリオスタットにて薄切し、オートラジオグラフィーを行なった。Roの投与時間については60分、120分も検討したが、90分後が脳血流の影響が少なく、かつ、観察可能なRI濃度が得られる至適条件と考えられた。水頭症発症群ではRo,IMPともに大脳皮質、基底核で瀰慢性に低下しており、その低下は統計的にも有意であった。またRo,IMPの相関係数はr=0.64であったが、統計的には有意であった。生後3週目で髄液短絡術を施行した4週目のラットと非施行群とでは短絡術施行群でRo.IMPともに上昇傾向を認めたが、いずれも統計的に有意のものではなかった。しかし、この実験でもRoとIMPは高い相関を示していた。本研究を通じて、ベンゾジアゼピン受容体のinvivo autoradiographyが可能であることが明らかとなったが、血流の影響を最小限とし、至適撮影条件を得るためには90分後の撮影がよいと考えられた。また、水頭症では脳血流の低下とともに、ベンゾジアゼピン受容体は瀰慢性の低下をしめし、局所的な変化を認めなかった。血流とベンゾジアゼピン受容体の分布の間には密接な関係があり、神経伝達物質のRl imagingを行なうに際しては、脳血流を常に考慮に入れる必要があると考えられた。
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